昨年の2/1(日)AM10:00

休日の朝早くから、僕は、
大阪ビジネスパークの松下IMPホールにいた。
ここはビジネス街なので、
休日には人がほとんどおらずガラガラだった。
気温は1ケタと、とても寒い1日だったが、
ホールの重い扉を開けると、外とは打って変わって、
1,000人近い人達の熱気で満ちていて、少し息苦しさを感じるほどだった。
なぜなら、ここで、ジェームス・スキナーの
約3年ぶりの一般向けセミナー「人生の選択」が開催されるからだ。
会場は超満員。そして、ジェームスのファンが数多く集まっていたので、
エネルギーの高い人が多く、会場はかなりの熱気に満ちていた。
ジェームスのパッションあふれるスピーチに、聴衆は魅了されていた。
絶妙なタイミングで流れる音楽、スポットライト、チームワークのよいスタッフが、
セミナーを盛り上げ、クライマックスに向けて、あっという間に時間は過ぎていった・・。
ラスト・・約20万円の高額セミナーの
アップセルのクロージングの前に、Q&Aのコーナーが設けられた。
2,3人の人がまず質問をしたが、どの質問にも、的確に、
そして僕らの予想をはるかに超える切り返しで答えるジェームス。
「これは本当にアドリブか?」
「サクラが仕組まれているんじゃないのか?」
と言いたくなるくらい、素晴らしいアドリブの回答をするジェームス。
そこで、1人の30代前半ほどの男性が手を挙げ、ある質問をした・・
「ジェームスの使っている、そのタオルをください!」
そんな突飛な質問というより、お願いにも、快く応じ、
さらにアドリブで気の利いた言葉を添えて、タオルをプレゼントするジェームス。
「そういう手もありなのか・・」と、若干ざわめく会場。
そこで、ある1人の太ったオペラ歌手のような中年女性がすばやく手を挙げた。
その女性は、質問というより、、
最悪の人生を過ごしてきた自分が、
ジェームスに出会ってどれだけ変わったか。
ということを、若干オーバーな身振り手振りを入れながら、延々と5分ほどしゃべりまくった。
そして、「ジェームスには感謝をしているから、今回自分は10人もの友人と、身体の不自由な夫を連れてきた。」そう、若干恩を売るように語った。
そこで、最後にお願いがある。と言って、、彼女は衝撃的な発言をした。
「私に、9ステップのライブセミナー(約20万円の高額セミナー)を、プレゼントしてくれませんか?」
その発言に会場はざわついた・・。
僕は、「なんて図々しい女だ。」と思った。
おそらく会場にいる、他のみんなもそう思っただろう。
ジェームスも、さすがに困ったような顔をしている。
ここで僕の興味は、一気にジェームスに移った。
「いったい、ジェームスは何て答えるのだろう?」
せっかく、いい流れでセミナーはクロージングに向けて進んでいる。
さらに、一度タオルをあげるという要求を飲んだ直後だ。
それにこの女性はジェームスの事を気に入っていて、
10人の仲間を連れてくるという恩を先に売っている。
ココで断れば、金額は違えど、さっきの人にはOKしたのに!
という整合性がとれない部分もあるし、女性の恩を仇で返すことにもなる。
さらに、成功者としては、少しケチくさい印象も与えてしまうので、
ジェームスの権威も損なう。この後のクロージングに影響することは確実だ。
少し考え込んだジェームス。
その口元に、1,000人全員が注目していた。
シーンとした、気持ちが悪いくらいの沈黙が、会場を包む。
そんな中、ジェームスがおもむろに立ち上がり、口を開いた・・
「じゃあ、その隣にいる旦那もつれて、一緒に来い。そうしたら、一人分は無料にしてあげる。」
「オー!」という感嘆の声が会場を包む。
これ以上ないくらいの素晴らしい回答。
だれも傷つけることなく、権威も損なわない。
出費はあるが、対応に失敗して、ほかの多くのお客さんを
クロージングしそこなうという機会損失に比べたら、それほど大したものじゃない。
わずか2分ほどの短時間で、質問者もジェームスも得になる、
お手本とも言えるような答えを返してみせた。
ここで思い出されたのが、、ジェームスの監修した
自己啓発の名著:「7つの習慣」に出て来るコンセプト・・
「WinーWin」の原則だ。
僕たちの多くが持っているパラダイムは「Win-Lose」というもので、
これはどちらか一方だけが勝つという考え方です。
ほとんどの人は、生まれたときからWin-Loseの考え方を
植えつけられて育ってきたといえるかもしれません。
特に、ライバルを蹴落とさなければ生き残れないような、
厳しい環境で仕事をしている人は、今まさに、、
その状態で不安な日々を送っていることでしょう。
「7つの習慣」の第4の習慣:人間関係の6つのパラダイムによると、
”「人間関係におけるパラダイム」とは、、
Win-Win:自分も勝ち、相手も勝つ。それぞれの当事者が欲しい結果を得ること
Win-Lose:自分が勝ち、相手は負ける。相手を蹴落としてなんぼの世界
Lose-Win:自分が負けて相手が勝つ。相手が幸せになるならば、自分は常に踏み台でかまわない
Lose-Lose:相手が負けて自分も負ける。相手に勝たせるくらいなら足を引っ張って共倒れしたほうがマシ
Win:自分の勝ちだけを考える。自分が勝てば相手がどうなろうと知ったことではない
Win-Win または No Deal:Win-Winの合意、または取引条件に至らなければ、
取引しないことに合意する。妥協するくらいなら白紙に戻す”
であると言われています。
そして、7つの習慣の影響を大きく受けているジェームスは、
どんな時でも、誰が相手でも、Win-Winの取引にこだわれと言っています。
人間、追い込まれた時こそ「素」が出るもの。
今回のジェームスの対応は、ジェームスがいかに普段から、
Win-Winにこだわっているかということを、感じられた瞬間でした。
”Win-Winの考え方のスタートは、お互いに満足する答えが
必ず存在するはずだと考えることであり、ある人の成功は必ずしも他の誰かを
犠牲にしなくても実現できると信じることです。”
考えてみれば、基本的に私たちの生活はWin-Winでなければ、成り立たないはずです。
たとえば、買い物をするときに、お金を払うのはその商品が欲しいからで、
売る側はお金が欲しいわけですから、この関係はWin-Winということになります。
仮に店が利益だけを考えて、粗悪なものを売りつけたり、
お客を騙して高額なお金を請求したならば、、お客が意図的なクレーマーで、
どんなにいいものを買っても、必ずいちゃもんをつけてきたならば、、
当然、両者の関係が将来にわたって続くことはないはずです。
目先の利益を考えると、それを犠牲にして、
取引を白紙に戻すということは、とても勇気がいるものです。
でも、あなたがそのビジネスをずーっと続けていきたいなら。
その友達、パートナーとの関係をずーっと続けていきたいなら。
勇気を持って「白紙に戻す」ということも、必要ではないでしょうか?
さあて、全員が勝つにはどうしたらいいだろうか?

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