最大になるな、最高になれ!
スターバックスコーヒーに学ぶ、
最高のブランドのつくりかた。
◯どんな本か一言で言うと
最高のブランド「スタバ」のマーケティング、サービス、人材育成のノウハウが網羅された本。
◯こんなあなたに
・企業経営者。
・企業のマーケティング担当者。
・個人でビジネスをしている個人事業主。
・自分のビジネスで、価格競争に陥っている人。
・従業員のモチベーション低下、離職率の高さに悩む。
経営者やマネージャー。
◯読んだらどうなる?
・ムダな広告費を削減しつつ、ブランド価値を高められる。
・価格競争から脱することが出来る。
・利益率が高まる。
・新規顧客が安定的に獲得でき、ビジネスが安定する。
・従業員の定着率が高まり、会社に活気が出る。
◯レビュー
世界屈指のブランド力を誇る企業、スターバックスコーヒー。
そんなスターバックスで、8年間マーケティングプログラムの作成・実行に携わったジョン・ムーア。彼はその後、ホールフーズのマーケティングも担当しており、その手腕は確かなものだ。そんな彼が、スタバの強さの秘密をマーケティング(ブランディング)、サービス、人材育成の3つのポイントから解説したのが本書である。
最近、毎週のように、スターバックスコーヒーにお世話になっているので、気になって手に取ってみた。
特に気になったを紹介すると、、
・ありのままを伝えよ
スタバはCMをしない。いわゆる作り話や、過度な宣伝はしないのだ。その代わりに、一杯のコーヒーがサーブされるまでの
「ありのまま」のストーリーを伝えている。
コーヒーセミナーでは、コーヒーの歴史から、スタバのコーヒーがどのように、お店に届き、どんなこだわりでサーブされるのか。ありのままを伝えてくれる。(僕も一度参加したことがある。)
お店には、アフリカや南米の、コーヒー畑で作業している作業員の姿を映した写真が飾られている。
「今、口にしているコーヒーは、ここから来たんだな。」
なんて、感慨深い思いでコーヒーをすする。
これは立派なマーケティングだ。
販売戦略は単純化して考えよスターバックスでは、売上アップの方法を3つに集約することで、マーケティングを単純化している。
ここはどの業種にも共通していて、非常に勉強になった。
①新規顧客を獲得する
スターバックスは毎年、総顧客数の4分の1にあたる新規顧客を獲得している。
②既存の顧客にもっと多く、もっと頻繁に購入してもらう
スターバックスには週に4000万人が来店する。そして、顧客の平均来店回数は月に約6回。顧客の目に触れる、新商品のテイスティングやプロモーション活動を行い、既存客を囲い込む。
③価格を高めに設定する
米国のスターバックスでは、経費の増加を相殺するために2、3年おきに5セントずつ値上げをしている。かといって、値上げに怒るお客はまずいない。新商品もあえて高めの価格設定をする。値上げに伴って、客単価も上がり、ひいては売上全体が上がる。
最大ではなく、最高になれ
スタバは既に大企業であるが、創業者のハワード・シュルツはこう言っている。
「大企業は良くないという考え方を、打ち破ることもスターバックスが挑んでいる課題のひとつにほかならない。この考え方を払拭しなければ、そもそも人々をスターバックスに惹き付けてきた当の価値観自体を失うことになるのだ。」
また、こんなエピソードもある。9000店舗目のオープンを前に興奮していたハワード・シュルツに対して、CEOのジム・ドナルドは言った。「ハワード、9000店舗目をオープンするんじゃないよ。1店舗のオープンの、9000回目を迎えるのさ」と。
ただ単なる拡大主義ではなく、1店舗1店舗が、最高の1杯のコーヒーを出すという気持ちであることを、スタバは何よりも大切にしているのだ。消費者のインテリジェンスを尊重するこれはスタバのマーケティング 暗黙のルールとして定められているもの。
スタバは、スペシャルティコーヒーを消費者に伝える、啓蒙するという使命を持っている。だから、コーヒーをワインのように高貴に扱う。産地やロースティングのプロセスなど、そこに顧客は喜んで高価なお金を払う。
セット売りや、値下げなどの品位を損なうことはしない。そして、あえてグランデ=Lサイズなどの表記もしない。はじめて注文するときは、戸惑うかもしれないが、「ソイラテ グランデ エキストラホットで。」などと注文すると、顧客は親しみが湧き、スターバックスの一員になったかのような気持ちになる。
このように、消費者のインテリジェンスを尊重することはとても大切なのだ。
消費者はみな、そのように注文している「自分」が大好きなのだ。そこを尊重しなくてはいけない。
そのほか、サービスに関するヒントや人材育成、ミッションのつくり方など組織造りにおいて活かせるポイントが多数載っている。
スタバが好きな方は、一度読んでみてはいかがだろうか。
所要時間:およそ50分。