「カンボジアで出会った、2人の少女の物語」
最近海外に行けていないので、少し思い出話を書いてみます・・
カンボジアのシェムリアップ。
ここは、アンコールワットをはじめ世界遺産の遺跡を多く抱える街。
シェムリアップ自体は小さな村だが、
アンコールワットへの入り口として、世界中から旅行者が集まる。
夜遅くまで開いている屋台や、商店がひしめき合う繁華街が広がっている。
2012年の1月、僕はカンボジアへ一人旅に出掛けた。
そして、カンボジアでの滞在にも慣れてきた5日目のこと。
僕は、ランチをとろうと、旅行者向けのレストランに入った。
気持ちの良い晴れの日。
テラス席に腰掛け、ビール片手にマルゲリータを頬張る。
美味い。
至福の時間を過ごしていると、僕の目に興味深い光景が飛び込んできた。
隣の席に、少し裕福そうな白人の家族が座っていた。
歳は35歳くらいのご夫婦。
言語からして、ドイツ人だろうか。
そして、7歳くらいの女の子が一人。
家族3人。とても幸せそうに、食事を楽しんでいた。
家族で海外旅行をするくらいだから、そこそこ裕福な家庭なのだろう。
そしてそこに、物売りの現地の少女がやって来た。
歳は白人の女の子と同じくらい。
服はボロボロ、足元は裸足。
手には手作りのミサンガのようなものを持ち、
白人の夫婦に必死で売り込んでいる。
あまり相手にされていないが、彼女はなかなか諦めない。
片言の英語を使って、7歳の少女が必死でセールスをかけている。
ジュースをすすりながら、それを優雅に眺めている白人の少女。
同じくらいの年齢なのに、生まれた国、場所の違いで、
こんなにも格差があるのか・・
と、改めて認識させられた出来事だった。
しばらく僕はテラスに座ったまま、
目の前で起こった出来事について考えていた。
「カンボジアの少女は、なんて可哀想なんだろう。
あんな小さい時から、辛い思いをして、セールスをしなきゃいけないなんて・・」
はじめはそんな風に考えていたが、程なくして、
その考えは間違っているのではないかと思い始めた。
この2人の女の子は、20年後どうなっているだろうか?
かたや、裕福な家庭で甘やかされて育てられた子。
かたや、7歳から外国人相手に英語を駆使して、
セールスをかけることを強いられた子。
そのスキルや、精神面の強さ、成長度合いは
比べものにならないのではないだろうか?
確かに、新興国では先進国と比べて選択肢は少ないかもしれない。
教育水準ももちろん低い。
しかしそれを除けば、人間的な成長度合いは
苦労をしてきたカンボジアの少女のほうが、遥かに高い。
カンボジアには、その姿勢を学ぶべき少年・少女たちがたくさんいる。
・彼らは母国語以外に、英語、時に日本語や韓国語などの
日常会話を使いこなす。
・彼らは時に旅行者の国のジョークや、気の効いたセールストークを使い、
初対面の人の心を一瞬で掴むスキルを持つ。
・彼らは国籍問わず、知らない人へとガンガン話しかける
メンタルの強さを持つ。
・彼らは断られても、買って貰うまで決して諦めない。
バスに乗り込みその場を去るまで、10分だろうが、20分だろうが、
ずーっとついて来る。
・彼らは実践の中から学び、うまくいかなかったところは改善し、
どんどんコミュニケーションスキルを向上させていく。
先進国では、このようなことを「7歳」から経験している人間は皆無だ。
このことが分かった時、彼女は決して可哀想な子ではないと感じた。
きっと彼女には明るい未来が待っているはず。
そして、こんな少年・少女がたくさんいる新興国は、
確実に今後世界の中心になる日が来る。
そう確信した。