この前たまたまテレビで見た農家の話。コレが凄くてつい見入ってしまった。彼は農家というより、完全に「マーケター」でした。そこで、彼のやっていたことをマーケター目線で分析。紹介してみたいと思います。

この農家の名前は「梶谷農園」

広島の田舎にありながら、卸先リストには三つ星レストランがズラリ… 取引先は北海道から宮古島まで150軒。待機リストには、その倍の300軒が名を連ねる。わざわざ米国から来日する芸能人や「農園ごと買いたい」と頼む投資家もいるとのこと。

農家なんだけど、にんじんとか大根みたいな普通の野菜は売っていない。そして、JA(農協)なども一切通していない。では、何を、どう売っているのか?

彼の主な商品はハーブと、、、なんと「雑草」。

コレを三つ星レストランのシェフだけにターゲットを絞り、ニーズに合わせて、少量生産して売っているらしい。

普通だったら何の変哲もない雑草。もしくは、そこまで付加価値のつくはずのないハーブが、あり得ない価格で、しかも飛ぶように売れる。

そこら辺に生えている野草も、三つ星レストランに持っていけば数百万円てスゴくない?w シェフ界隈での口コミから、彼と取引したい人は多く…一流レストランの順番待ちが絶えないらしい。

梶谷さんは、TVの中でこんな風に話していた。

「大抵の農家は、料理人が求めている野菜を理解していない。なぜなら、実際に料理人と話すこともせず、ただ野菜を作っているだけ。料理人の気持ちがわかっていない。」

確かに、大半の農家はJAを通して野菜を売っているから、ただひたすら作るだけ。エンドユーザーと接していないし、ターゲットが誰。というのも考えたことすらない。野菜の「生産者」としてのマインドしか持っていない。

一方で、梶谷さんは違う。まず時間とお金の使い所が全然違う。普通の農家はほとんどの時間を畑で過ごし、同業者としか喋らないところ・・彼は年間500万円以上使って、世界中の三つ星レストランを食べ歩く。(このTVの取材では、世界一のレストラン。デンマークにある「NOMA」にも行っていた。家族旅行がてら世界の三ツ星レストランを回る。仕事と遊びが両立していて、なかなか素敵だよね。)

そして、食べ歩く時は必ずカウンターに陣取り、シェフと喋る。質問しまくる。

例えば、、ある日本料理の一流店に出向いたとき。刺身の上に普通よりも“小さなサイズ”のエゴマの葉が乗っていた。そこで、すかさず聞く…

「なんで、こんな小さなエゴマを使っているんですか?」

「市販のはもっと大きいですよね?」

料理人は答える…

「大きいやつだと、細かい毛が生えるでしょ? あれがバサバサして、刺身と合わないんですよね。」

なるほど…と、これを聞いた梶谷氏は膝を打つ。そして、カメラに向かってこう言った。「こんな小さなエゴマにニーズがあるなんて知らなかったでしょ? でも、現にそれを求める料理人はいるんですよ。大抵の農家は料理人と話していないから、こういうことを知らない。こんなものが売れるなんてわからない。でもそこに、ビジネスチャンスがあるんですよ。」と…

このように、誰をターゲットにするか?(主に三ツ星レストランのシェフ)を明確に決め、彼らが何を望み、何を嫌がるか?をヒアリングして知り尽くす。(リサーチ)そして、競合が提供していない、できないこと。ターゲットが欲しがるハーブを、オーダーメイドで提供することによって、単価は何倍にも跳ね上がる。

これぞ、マーケティング。普段、TVは見ない主義なんだけど、実家で家族がたまたまつけていた普通のバラエティ番組で思わぬ出会いがあった。ひとり「なるほど〜この人ヤバイわー!」と、感動してしまった。w

実際、梶谷農園は、少人数(家族経営レベル)でも年間数千万円〜億単位の売上をキープ。徹底して顧客を選ぶ高飛車ぶりで、付き合いたくないお客とは付き合わない。売らない。

よって、自分や家族との時間を大切にする。妻と3人の子どもと広島の田舎で心豊かに暮らす。働くのは平日の1日7時間だけ。午後3時には風呂に入り、家族に夕食を作る。19時以降はワイン片手に自室にこもり、映画や書籍を読みふける生活ができているとのこと。これぞ自分の人生を自分でコントロールするということ。DRM(ダイレクトマーケティング)はこれを可能にする技術なのだ。

今日の教訓・・
ただの葉っぱ・雑草でも、ターゲットを絞り、彼らのことを深く理解すれば高額で売れる。価格競争から抜け出すことができる。

やっぱりマーケティングって最高ですね。

では今日はここまで。

-Mr.T


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*
*
Website

CAPTCHA